2006年06月14日
第四話「永遠の8分間」
笛と共に試合が始まった。
「は、早い・・・」
始めはその早い展開に目がまわった。
即座にシュートを入れられた。
ぼーぜんとしていると、
「戻れっっ!!!」
なんて展開の早いスポーツなんだ。バスケットって!!
そういう感じる間もなく、開始2分経ってしまった。
「何か少し役に立たなければ・・・・」
スポーツの経験が少ないが、少しはチームに貢献しなければと思った。
「そうだ。チームの人が落としたシュートを拾おう。」
それがバスケ歴2分の彼のできる精一杯のことだった。
相手のガードのドリブルを味方が止めた。
瞬間、二人でガードを囲んだ。
「あっ」
ボールが転げた。
「ルーズッッ!」
すかさず、ボールを拾った。
「ソッコー!!」
掛け声と共に、雰囲気が変わった。
全員がゴールに向かって走り出した。
「なんだ?この高揚感は?」
無心になってゴールに向かって走った。
気づいたらゴールの下にいた。
「ローポッッ!!!!」
宙高くボールが飛んできた。
「飛べっっ!!!」
夢中でそのボールにかじり付くしかなかった。
リングが目の前に。
2006年05月31日
第三話「きっかけ」
彼は次の日、何事もなかったかのように学校へ行った。
すると、帰りがけにいつも通っていた校門の前にある体育館のバスケットコートに目が止まった。
彼は、自分がスポーツに向いていないと思っていた。
しかし、ふと見知らぬ大人から、「向いている」と言われ
半信半疑ながら、自分の可能性があるのではないか、と思っていた。
そういえば、同級生の柳沢君がミニバスケットをやっている。
彼は怖いもの見たさながら、ミニバスを見学させてもらうことにした。
「キュッキュッ」
独特なバスケットシューズとコートの擦れる音。
「ダムダムっ」
ドリブルの音。
あまりに無菌で清潔なコートに対して、彼は神秘的な印象を覚えた。
柳沢「よぉっ!○○ 久しぶりだな。どうして、バスケになんか興味持ったんだ?」
○○「そうだなぁ、なんとなくだよ。」
柳沢はチームのエースだった。
背も高く、運動神経もいいためミニバスの監督から直接、スカウトされた。
神奈川県大会にも出場し、学年では有名な選手だった。
監督「柳沢!どうしたぁ。そろそろ練習始めるぞぉ!」
ひげの監督が寄ってきた。
監督「おぉ、いらっしゃい。ゆっくり見学していってね。」
柳沢「集合!」
練習が始まった。
もくもくとメンバーはフットワークを練習している。
監督「君、背、いくつあるの?」
○○「え、174センチですけど」
監督「へぇ~」
不思議な間のある監督で、彼は変に緊張してしまった。
フットワークが終わった後、スリーメンに入る。
その後、各ポジション別で、フォーメーションの練習をした。
時間にして約二時間。彼はそのチームの機敏さに圧倒された。
最後に、5対5の練習形式のゲームに入る。
監督「それじゃあ、Aチームは柳沢、小松、金子、松尾、西島
Bチームは岡田、吉田、富田、徳田・・・」
監督はコートを見渡した。
監督「あれっ、今日、ジョニーは休みなの?」
ジョニーは同学年で柳沢に次ぐ、チームのエースだ。
監督「あっ、じゃあ、君入ってくれ」
彼は突然、指をさされた。
「えっ・・・」
監督「上履きでも走れないことはないなっ。」
そう言って、彼はいきなり試ゲームに出されることになった。
この試合が彼の人生を変えることとなる。
続く。
2006年05月27日
第二話「出会い」
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主人公12歳で174cmあるということから、
地元の不良から高校生に間違われ、恐喝にあった。
彼にとって、体が大きいことがトラウマとなった瞬間であった。
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彼は気づくと流血していた。
その日は塾を休み、親に今日の出来事を告げた。
すると、即座に警察沙汰になった。
恐喝の相手は、地元でかなり有名なチンピラであり、
高校生を相手に何件も恐喝をしているそうなのだ。
彼は親とともに警察署に行くこととなった。
潮の香りがする横須賀警察署。
「早くしなさい」
母親が急かした。
12歳の少年にとっては、警察署という場所は何とも恐ろしい場所であったからだ。
中に入ると待合室で待たされた。
「まるで僕が悪いことしたみたいだね」
そうすると、母親から叩かれた。
事情聴取をする部屋につれて行かれた。
被害者として事情を聴取するのに、なぜか罪悪感がある。
「大変だったね。」
漫画のこち亀に出てくる「両さん」にソックリな40歳くらいの小柄なおじさんが出てきた。
彼は犯人の特徴から、いきさつまで何度も確認した。
犯人の顔の印象、雰囲気、そしてどちらの手で殴ったのか、等。
「そこで、二人が襲い掛かってきたので、タックルしたんです。」
「本当に?」
「はい」
「どちらが右側だった?」
「えーと、たぶん、長髪のほうだと思います。」
「たぶんじゃダメだよ、確実に長髪だった?」
「えーと・・・」
こんなやりとりが延々、3時間も続いた。
たかだか、1~2分の事件のためにだ。
「同じような被害者を減らすためよ」
母はそう言って、なぐさめた。
彼は正直、滅入っただろう。
事情聴取が終わった。
荷物を片付けて、部屋を出る二人。
最後に警察官が誇らしげにこう言った。
「いやー、息子さんは勇敢です。高校生でも逃げるチンピラにタックルしたんですからね。
それだけのガタイがあれば、バスケットボールの選手にでもなれるんじゃないですか?
僕はこう見えても小柄なんでね。息子さんみたいな人はうらやましいですわ。」
彼は「バスケットボール」という言葉を初めて、耳にしたのだった。
「バスケットボールってなんだ?」
そう彼は思ったに違いない。
つづく。
2006年05月21日
第一話「背が高いだけで」
彼は今までコンプレックスの固まりであった。
なぜなら、彼は12歳で174cmあり、「背が高い」を笑われ続けてきたからであった。
そんな彼を理解してもらうために、彼の小学校卒業間際のエピソードを紹介する。
彼はマウンテンバイクをこよなく愛していた。
彼は週に二回、父親に買ってもらったマウンテンバイクで塾まで通学していた。
青い空。まっすぐ、続く道。40キロは出ていた。
その道を通せんぼする二人の男。
彼は気弱であったため、すぐにブレーキをかけた。
「通してください。」
塾に遅刻しては、また先生からどやされる。
しかし、二人の男は意地悪な態度でそこをどかなかった。
「お前、どこ高校?」
「え?」
小学校、卒業目前を迎えた彼は、初めての的外れな質問に戸惑った。
そんな時、彼は先生の「大人には正直に答えない」という言葉を思い出し、こう答えた。
「第二小学校です。」
「は?」
「何、お前バカにしてるの?」
二人の男はすごい見幕でまくし立てた。
一瞬、目の前が真っ白になった。
気づくと、地面に横たわっていた。
ガッシャーン
自転車が倒された。
「逃げるしかない」
気弱な彼には、この言葉しか思いつかなかっただろう。
相手は180cm程度の男二人。
全体重を乗っけて、タックルをした。
自分を殴った男は、のけぞった。
そのスキに、マウンテンバイクにまたがり、
すぐ様、全速力でギアを前回にし、ペダルをこいだ。
気づくと、まるで防空豪かのように、ビルのすみで震えていた。
「背が高いということで損をする。」
そう脳裏に焼き付けられた瞬間であった。
つづく。


